講座
ビタミンD欠症—「くる病」
中村 兼次
1
1関東逓信病院小児科部
pp.32-36
発行日 1955年12月10日
Published Date 1955/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201075
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ビタミンD欠乏症と云えば直ちに「くる病」を考える程,「くる病」はD欠乏の代表的な疾患で,欠乏にはその他,乳児テタニーの原因となる事もあるがここでは触れない事にする.「くる病」は主に発育盛りの小児を犯し,又発育の最も旺な箇所を侵すので乳幼児保健上極めて重要な問題である.
戦前は主に北陸,北越,山陰,裏日本に「くる病」の報告が多かつたが,終戦後は東北地方,北海道は勿論,関東,中部,四国,九州に至る迄,本症に関する発表が見られる様になつて来た.これは戦後の食糧事情の悪化,育児思想の不足等がその原因の一つとなったと考えられる.
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