私達の聲
—編集室にのぞむ—マス・コミュニケーションの実をあげたい/暖かい愛情に感謝—読書の手紙へのお答え/黒い靴
櫻林 よし子
,
谷川 ゆき
,
本誌編集室
pp.62-64
発行日 1954年5月10日
Published Date 1954/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200741
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国民の保健と衞生に関する問題ととりくんでいる私達は,此れでいいと自分から満足を感じる時は永久に来ないかも知れない.それ程私達の直面している問題は重大であり且つ絶えず前進しているからである.それ故私達は限りない前進が必要なのだ.といつて第一線の活動をしている私達は何を通して,自分達を一歩前進させることが可能なのだろうか? 勿論いろいろな方法があげられよう.しかし私は保健婦になつて以来,此のために「保健婦雜誌」を継續購読してきた.ふりかえつて,自分の歩んできた道を眺め,此の雜誌に啓発させられた点の多かつたことごとを感謝したい.と同時に此の雜誌に大きな愛情を感じてもいる.愛情を感じ,この雜誌の発展を祈る一人として今日は一言苦言をのべさせていただきたい.
保健婦雜誌の重心はなんといつても講座に置かれている.講座には今迄も幾多の斯界の権威が,各種の問題について私達を指導して下さつた.がどうしたことか此れらの講座で私達の直面している問題に100%の解答を与えてくれたものは極めて少い.伝染病の解説は,相当深く学問的に追求された内容を私達に紹介してくれた.が実際に伝染病と戰う第一線に立つ私達はそれではどうしたら解決が与えられるのか,という点に至ると破ることの出来ない壁につき当つてしまうことか往々である.
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