発言席
暖かい家庭で在宅療養を
遠藤 博志
1
1松戸市立病院
pp.527
発行日 1989年7月10日
Published Date 1989/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207767
- 有料閲覧
- 文献概要
高齢化が急速にすすむなか,医療はもちろん高齢者ケアへの対応も大きく変貌してきている。その1つとして在宅療養が強く求められ,国も国民医療総合対策本部の中間報告で,またそれを受けて診療報酬の面でも,在宅医療にかかわる部門に力を注いでいる。私も病院は急性期の疾病を治すところであり,いつまでも入院している場ではなく,1日も早く家庭に戻り,社会に復帰してもらいたいと考えている。
在宅療養の推進と簡単にいっても,現在のような社会状勢,家庭環境のなかでは問題も多く,保健婦や訪問看護婦の定期的な訪問や医師の往診が体制のなかで決められても,それで十分とはいえない。病院に入院しているような24時間十分に安心して医療を受けられるものではなく,家族の方がたの負担も極めて大きい。さらに家屋の構造上からみても不適なものが多く,最近は医療面も充実した民間のシルバーマンションが建設されているが,かなり高額で誰でも入居できるものではなく,またここに入ることが本来の在宅療養か否か,問題の残るところである。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.