保健婦の眼
離婚問題におもう
淡島 みどり
pp.49
発行日 1954年5月10日
Published Date 1954/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200736
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さいきん著名な三女性の結婚解消問題がジヤーナリズムの人気をさらい,婦人雜誌もそれにおくれまいと,あらゆる角度から分析して眞実はこうだ,いやこうだとなかなかにぎやかに論議をしている.なまじ有名なばかりに,私生活まであかるみに出され,さぞ本人たちは迷惑し,淋しくおもつていることだろう.もとより夫婦の間の問題はとやかく他人のくちばしを入れるべき問題ではなく,他の人にわかるはずもないのであるが,私はこの三夫婦の夫君たちの言葉に興味を感じたのでペンをとつた.
平林女史の夫君小堀氏は「自由になる女がほしかつた」と云うし,三岸女史の夫君は「自分は朝女房がつくつてくれるみそ汁の味といつたものを人1倍にのぞむ眞人間だ」とか又,山田五十鈴の夫君,加藤氏は「有名なスターの亭主といわれて平気でいられない」などとこの人たちの云つていることは一皮むけば,昔ながらの日本の亭主連のわがままないい分と少しも変らないようだ.芸術家としての仕事をもつた女性をはじめから承知で妻にしたのであろうから,今更はじまらないわけだが,要するに3人の男性に共通のことは,自己と同等もしくはそれ以上の地位にある妻に対して不満をいだき,男としてのゆうえつ感を保ち得なくなり,夫の座に対しての不安と不満の解決を離婚という形式でやつたということである.
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