映画紹介
黒い画集
外輪 哲也
pp.55
発行日 1960年4月1日
Published Date 1960/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201896
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芥川賞作家・松本清張作「黒い画集」(週間朝日連載)の中の1篇「証言」を「あるサラリーマンの証言」と副題をつけて,「私は貝になりたい」の橋本忍が脚色し,「あすなろ物語」「裸の大将」の掘川弘通が演出する作品.
東和毛織の管財課長石野(小林桂樹)は,20年間コツコツ勤めて,中堅幹部の地位を得て,家庭生活も円満だが,その心のゆとりが,同じ課の事務員千恵子(原知佐子)との関係を生じさせる.いつものように会社が終つて,千恵子のアパートを訪ねるが,その帰路,自宅の近所に住む保険外交員杉山(織田政雄)と会う.彼の口から妻邦子(中北千枝子)に知れるのを恐れて,映画を見て遅くなつたことにした.ところが,3日後に刑事の訪問を受け,その夜,杉山と会つたかと質問される.杉山は殺人容疑に問われているが,会つたと言えば,自分と千恵子の関係が知れ,会社の地位も家庭もぶち壊しになるので,会つた覚えはないと答え,用心のため千恵子のアパートも他に移してしまう.
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