講座
結核の後療法
小坂 久夫
1
1国立療養所村山病院医務課
pp.19-23
発行日 1953年10月10日
Published Date 1953/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200606
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結核症と後療法肺結核の治療の根本は安靜療法である.安靜によつて結核の病巣は容易に進行性を失い徐々に停止性となり,一般症状もなくなるのが普通である.然しこの状態になつたからといつて勿論結核は治癒したのではない.単に炎症がおさまつて,治癒が徐々に始まりはじめたにすぎない.
結核症の治癒は非常に除々であり永い時日を要し,又その治癒の状態は不安定である.即ち結核症には完全な病理学的治癒は少く,多かれ少かれ痕跡を残すものであつて,例えば発見された乾酪巣や石灰巣の中にも結核菌が永い間生存し,何等かの誘因によつてその病巣が軟化し,再燃するという危険性を持つているのである.更に変化のひどい空洞形成の場合には例え洞が一時的に閉鎖し治癒の状態になつたにしても再発の危険は前者より更に多い訳である.
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