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最近の結核腎剔出後の予後について
高橋 浩
1
,
松浦 省三
1
1久留米大学医学部泌尿器科学教室
pp.1008-1011
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201838
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緒言
外科的慢性腎結核症についての統計的観察は現在までに内外共に多数の報告があり,本教室に於いても古くは井口,新しくは重松らの報告がなされて居る。最近種々の抗生物質ならびに化学療法剤の出現は,尿路結核症に対しても相当の効果が期待されて居るが,未だその成績に関して決定的な段階に到らず,今なお疑問の余地がある様である。偏側腎結核に対しては,現在尚お患腎剔出が最良の治療法であり,種々の抗生物質ならびに化学療法剤の出現は著しくその予後を良好ならしめては居るが,現情ではあく迄補助療法であつて,腎結核自体に対して根本的治療としての役割を演ずるものではない。吾々は1949年より1954年に到る6年間に教室を訪れ,腎結核の診断の下に剔除術を施行した113例について,その予後を文書を以つて調査し,確実な資料となり得る50例についていささかその遠隔成績について検討し得たので抗生物質出現後の腎剔除術予後の一資料として此処に報告する。腎結核の一般的統計については重復するので省略し皮と泌17巻3号(1955)を,又両側腎結核の純化学療法については外科の領域2巻5号(1954)を御参考頂き,此処では単に腎剔を施行せる手術例の予後についてのみ報告する。
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