調査報告
農山村地域住民の生活実態と意識
桝本 妙子
1
,
福本 惠
1
,
堀井 節子
1
,
中西 淳子
2
,
市野 浩子
3
,
小笹 晃太郎
4
,
渡邊 能行
4
1京都府立医科大学医学部看護学科
2元京都府周山保健所保健福祉課
3京都府京北町保健センター
4京都府立医科大学附属脳・血管系老化研究センター社会医学・人文科学部門
pp.344-349
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100060
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■要旨
農山村地域住民の生活実態を,地区概況,質問紙による生活時間調査,面接調査の3つの方法で把握し,それぞれの内容がどのように関連しているかを検討した。
質問紙調査への回答者192人のうち,了解の得られた45人に,主として家庭訪問により面接調査を行った。調査内容は,基本的属性のほか,「この町に住んで生活上困っていることは何か」「生活していくうえでこの町のよいところとそうでないところは何か」「あなたはこの町がどうあってほしいと思うか」について半構成的質問を行った。
面接内容から14のカテゴリーが抽出され,①『人口過疎』『医療過疎』『車社会』『豊かな自然環境』が《地区概況と共通する内容》に,②『よく働く』『早寝早起き』『社会参加時間多い』『療養時間長い』が《生活時間調査の結果と共通する内容》に,③『地域への愛着感』『地域規範への順応と負担感』『医療への不安と期待』『福祉への不安と期待』『買い物の不便さ』『自然との共存模索』が《地区概況や生活時間調査に現れなかった内容》に分類された。
面接調査からは,地区概況や質問紙調査と共通した内容と,それらでは把握できなかった住民の思いや関係性がより具体的に示された。地域住民の生活を総体的にとらえるためには,これらの方法を併用することが望ましいと考えられた。
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