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はじめに
本学での公衆衛生看護学実習は,その目標を「保健所,市町村の組織・機能を学ぶ。また,公衆衛生看護活動の実際を,具体的,総合的に理解し,生活者としての個人およびその集合体(家庭,地域,企業,学校など)を対象とする活動の展開に必要な知識と技術を習得する」と位置づけて開講されている。しかし,平成11年度履修学生の記録の一部を分析したところ,実習計画書作成段階では「地区診断(地区把握)」に関する記述がみられたが,実習日誌,グループワークの記録などでは,日常的な保健事業場面に関する記述が多く,それらが地区活動全体のなかで持つ意味に関する考察はほとんどされていなかった1)。このような学生の実態から,公衆衛生看護活動を総合的に理解するという点において,十分に目標を達成していないと判断された。そこで平成12年度から,公衆衛生看護学実習の保健所実習期間中において,地区把握の実施とレポート作成を学生に課し,「地域(地区)をみる,生活をみる」視点を学生が獲得できること,さらには,そこで行われている活動の意味を理解し,公衆衛生看護活動を総合的に理解させることを試みている。
地区把握という新たな課題の設定に関して評価を行うために,平成12年度実習履修学生に対して,地区把握課題を遂行したグループ単位および学生個人に対する自記式質問紙調査2,3),実習指導者に対する半構成的面接調査,実習指導担当教員に対する自記式質問紙調査を実施した。本研究では,「学生個人に対する自記式質問紙調査」と「実習指導担当教員に対する自記式質問紙調査」,さらに実習終了後に提出を課している「学生自己評価表」の3種類のデータから,「保健所での地区把握課題が,のちの市町村実習でどのように活かされたか」について検討した。
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