FOCUS 保健師制度再考
わが国の保健師制度の歴史と展望―いまこそ看護師資格との一本化を
菅原 京子
1
1山形県立保健医療大学
pp.334-343
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100059
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はじめに
わが国の保健婦活動は,明治時代にその萌芽が認められ,以後,大正デモクラシー期の社会事業の一環としての活動,戦時体制下における健兵健民政策としての活動が展開された。第二次世界大戦後(以下,戦後と略)は,結核などの感染症対策から現代の介護予防などに至るまで,時代の保健ニーズに応じた活動が行われている。
このような活動を担ってきた保健婦は,法制度上,看護婦,助産婦と並ぶ看護職種の1つとして位置づけられている。しかし,筆者は,歴史的にも1),また,今後を展望した場合にも,保健婦資格と看護婦資格を並行させる合理的理由は見出せないと考えている。そこで,本稿では,保健婦資格と看護婦資格を一本化すべき理由について,看護婦と別の名称となった経緯,看護婦の業務との法的重複性,幻となった資格の一本化,および現在の看護の動向からみた21世紀の展望という観点から論証したい。
なお,周知のとおり,保健婦助産婦看護婦法の2001年(平13)12月改正により,看護職種の名称は,保健師・助産師・看護師・准看護師に変更された。したがって,本稿のタイトルもその新しい名称を用いている。しかし,法令を含めて歴史的経緯をふまえる本稿の性格上,その新しい名称を用いると注釈を多く付けざるを得なくなるため,タイトル以外は保健婦・助産婦・看護婦といった名称を用いることにする2)。
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