特集 ターミナルケアを考える
ターミナル期にある患者家族の心理とその援助を考える
斎藤 さえ子
1
1聖母病院
pp.1084-1090
発行日 1988年11月1日
Published Date 1988/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922128
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忘れられない事例
私が以前,外科病棟の看護婦として働いていたころのことである.乳癌で母親を亡くした幼い姉妹がいた.母の存命中,病棟に見舞に来ていた時から.12か13歳になるかならないかくらいの姉のけなげな姿が際立っていた.その姉は,自分自身がまだ甘えたいさかりであっただろうに,妹をかばったり世話をしたり,姉という役割を痛々しいほどに演じ切っていた.大人たちのギクシャクとした関係が子供たちの心を傷つけ,必要以上に大人びた行動を姉にとらせているようでもあった.
母親が亡くなり,お見送りをさせていただいた時の光景が思い出される.
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