活動報告
在宅ターミナル患者をみとった家族の死別期における悲嘆反応とその支援
川又 一絵
1
,
降旗 美佳
2
,
亀井 智子
3
,
島内 節
3
,
高階 恵美子
3
1東京医科歯科大学医学部附属病院
2虎ノ門病院分院
3東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
pp.413-421
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901980
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はじめに
愛する者を死によって奪われるという経験は,人の生活の一部分として避けることのできないものであり,この喪失経験は“悲嘆”という反応をもたらす1)といわれている。A. デーケン(1986)2)はこのような反応を12段階として示し,この悲嘆反応の過程とは,死別の事実のショックを受け,そのショックから自己を守るための防衛機制を働かせ,その後の現実を認知し,適応していくというものである1)とした。その克服には多くの困難を伴い,病的な悲嘆に陥る可能性もある3)。死別の悲しみの克服の伴う困難を予測し,適切な援助をすることは,死別後の家族が不適切な状態に陥ることを防ぐために役立つと考える。特に在宅ターミナルケアのおいては,家族が患者の人生最期の時を自宅で過ごし,家族が中心となってケアを行うため,死別後の家族の悲嘆反応へ医療・看護・介護が与える影響は大きいと思われ,その過程を見守る必要があると考える。近年,保健医療制度の整備がすすみ,在宅療養者の数が増え,訪問看護件数も増加しているが,みとり後の援助は,担当訪問看護婦の善意で行われているのみである。
在宅ターミナルケアのおける家族の援助の関する研究には,鈴木ら4),上妻5),井手6)らの報告があるが,死別期の関するものは少ない。さらに,在宅で患者の死をみとった家族の焦点を当てたものはほとんどなく,また,その死別後の悲嘆の援助のついての論述もない。
そこで本研究では,在宅でターミナル患者を介護した家族の死別期における悲嘆反応を明らかのし,それを支えるための在宅看護援助とその内容を考える。
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