特集 患者の求める退院指導のあり方
脳卒中患者の家族に対する退院指導の効果—再発予防とADL維持への影響について
松元 イソ子
1
,
田畑 さよ子
1
,
小野 知子
1
,
井上 仁
1
,
川平 和美
2
,
田中 信行
3
1鹿児島大学医学部付属病院霧島分院
2鹿児島大学医学部付属病院霧島分院リハビリテーション部
3鹿児島大学医学部付属病院霧島分院内科
pp.1022-1025
発行日 1985年9月1日
Published Date 1985/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921185
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はじめに
脳卒中は1981年に死亡原因のトップの座を癌にゆずったというものの,その後も第2位を占め,毎年14万人以上の人が脳卒中で死亡している.近年の高血圧症等の危険因子に対する認識の高まりと人口の高齢化によって,脳出血の減少と高齢者の脳血栓の増加がある.リハビリテーションの対象となる脳卒中患者も高齢化が明らかで,それにつれて障害老人に共通する医学的リハビリテーションだけでは解決できない家族の受け入れが問題となることが多くなっている.
特に脳卒中のリハビリテーションでは,治療法や補装具の進歩にもかかわらず,その回復には限界があり,様々な障害を残したまま家庭復帰せざるを得ない.このような患者の退院後の生活は,患者自身の意向よりも家族の意思が大きな決定力を持っている.奥川1)が述べているように,患者自身の障害受容や自己決定の原則,積極的な意味での自立に多くを望むことが困難で,家族の障害受容と家族に対するアプローチで家庭環境整備を行なうことがはるかに重要となる例が増えている.
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