セミナールーム・法医学
安楽死(その2)
江下 博彦
pp.60-61
発行日 1969年8月1日
Published Date 1969/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661914571
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安楽死の倫理
欧外は「高瀬舟」の資料と「翁草」という本からとっています。「翁草」が、喜助という男が教のない民(教育のない人間の意味でしょう)だから,法を知らないで悪意がないのに人殺しをやったと批評しているのにたいして欧外は、「しかしこれはさう杓子定木で決してしまわれる問題ではない。」と反論し「ここに病人があって死に瀕して苦んでいる。それを救う手段は全くない。傍からその苦むのを見ている人はどう思ふであらうか。縦令教のある人でも,どうせ死ななくてはならぬものなら,あの苦みを長くさせて置かずに,早く死なして遺りたいと言う情は必ず起る。」とのべさらに「従来の道徳は苦ませて置けと命じている。しかし医学社会には,これを非とする論がある。即ち死に瀕して苦むものがあったら,楽に死なせて,其苦を救って遺るが好いと言うのである。これをユウタナジイという。楽に死なせると言う意味である。」と説明しています。
しかし日本では従来「安楽死」は合法的とは認められていないことはご存知のとおりです。
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