JIM Report
安楽死と自殺幇助
宮地 尚子
1
1京都府立医科大学公衆衛生
pp.855-857
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414900968
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
[終わったよ,デビー]
アメリカ医学会雑誌(JAMA)に"It's Over, Debbie"という記事が載ったのは1988年1月のことである1).これは,匿名の医師によって書かれた1頁の短い手記であるが,全米の医師たちの間で大きな反響を呼んだ.この記事は,患者に安楽死を施したという医師の告白であった.簡単に記事を振り返ってみよう.
婦人科のレジデントとして深夜当直をしていた医師は,病棟から呼び出され,デビーという20歳の患者をみる.彼女は卵巣癌で化学療法も奏効せず,既に姑息的治療法のみを受けていた.やせ細った状態で呼吸困難にあえいで苦しむデビーは,病室を訪れた医師に「もう終わりにしましょう」と一言呟いた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.