老人相談コーナーの目
老人看護と音楽療法の家
田中 多聞
1
1東京都老人総合研究所
pp.1236-1237
発行日 1975年12月1日
Published Date 1975/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917394
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老人看護と成人看護
老人看護を成人看護の中で行うものか,別個に老人看護として扱うべきかの相談を受けた.すぐ頭に浮んだのが‘老年医学会’である.この学会は‘内科学会老年分科会’の異名がある.臓器などの疾患を対象とする臨床医学の老人版である以上,老人を全人間的にとらえる余裕もなければ愛情もない.研究・治療の興味,関心が失われると患者は医療を切り捨てられる.教育・研究病院を自他ともに認めている病院ほどその傾向が強い.医師の考え方として,医学者・研究者に憧れ,それを目標に医師になったのだから……,実地医家は……と,実践的臨床医を軽視する思潮が強いのも事実である.
‘看護学を学ぶために看護婦になった’と,主張する看護婦も少なくないと聞く.この両者の主張は,肯定できる面もあるが,許せないのは臨床軽視,人間軽視,研究業績主義である.ペーパー・ドクターのまねだけは,看護婦は避けて欲しい.
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