特集 小児の入院と成長・発達
重症児の院内での成長・発達への援助—進行性筋ジストロフィー症児の場合
新井 宣子
1
1国立療養所東埼玉病院筋ジス病棟
pp.892-895
発行日 1975年9月1日
Published Date 1975/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917326
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はじめに
小児にとっては,例え短期間で治ゆする見込みの疾患であっても,入院という事態に遭遇する場合の心理的動揺や情緒の不安は,はなはだ大きいものである.不安な情緒下にある小児の医療・看護において,単に病理学的立場だけからのアプローチだけではなく,その心理・情緒を把握して扱うことが,医療・看護の効率に大きくかかわるということについては既に周知されていることである.
進行性筋ジストロフィー症(以下DMP症)は,その多くが幼少児に発現し,しかもその進行は間もなく,通院,家庭環境,社会環境などの限界を超えて,入院を余儀なくされ,しかも現在では,病状の進行を抑止する治療も確立されていないために,極めて長期の在院という特殊な情況下において生活せざるを得なくなっている.
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