特集 筋萎縮性疾患
<随想>
筋ジストロフィー症児の就労について
井原 牧生
1
1社会福祉法人 聖恵授産所
pp.419-420
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101698
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“生き甲斐授産”という言葉がある.矛盾した用語だが,ときどき耳にする言葉である.その意味するところは―収容者に仕事をさせようとしても,能率的に思うようにゆかない.そうかと云って放っておくわけにもゆかぬ.本人も,何のために生きているか判らない.所謂,生き甲斐を失った人,見出せない人に,せめてもの代償的目標を与えよう―という意味である.
何もせぬよりも,毎日の生活に変化をつけ,多少の疲労と満足感が与えられればよいという授産作業である.つまり,働いた気持ちにさせるための作業であり,老人ホーム等では趣味や道楽と並行して行われている作業である.そこには生産性も合理性も度外視されているし,プロ的技術も考えられていない.専門的指導がないばかりか,そこでは素人の職員が世話をしている.
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