放射線科看護の実際・1
超高圧放射線治療の実際(1)
芦澤 昭
1
,
安岡 トミ
2
,
町田 トシヱ
2
,
吉田 マチヱ
2
,
平山 ハツエ
2
,
堀 サチ子
2
,
高橋 フミエ
2
,
山口 ヤヨイ
2
,
山本 葉子
2
,
広瀬 美智子
2
,
米子 紀美子
2
1長崎大学医学部付属病院中央放射線部
2長崎大学医学部付属病院看護部
pp.61-67
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917166
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はじめに
超高圧放射線治療とか高エネルギー放射線治療という言葉が,私どもの耳に入ったり,目に触れたりして,はや10年以上過ぎる病院も多くなったことであろう.すなわち遠隔コバルト照射装置(テレコバルト),ベータートロンおよびリニアアクセレーター(直線加速装置,リニアック,ライナック,リナック)のような1MeV(1ミリオン電子ボルト,100万電子ボルト)以上の放射線を出す装置で行う放射線治療のことを言うのである.これらはむかし行われていた放射線の深部治療機の電圧がたかだか160-200kV(16-20万ボルト)であったのだから,およそこれの10倍以上の電圧の放射線が出ると考えて差し支えない,電圧が高まるほど放射線の透過性が良くなり,深い病巣まで到達する率のよい放射線が出ることになる.従って皮膚(入射口や出射口)や病巣周囲の健康な組織に与える負担が軽い割に病巣への線量が多くなるの葉,むかし難治とされていた悪性腫瘍のあるものも治りやすくなってきたわけである.最近は放射線増感剤(放射線に抵抗を示す腫瘍がこの種薬剤の前投与で高い感受性を持ち放射線にやられやすくなる.5-FU,BUdR,Actinomycin Dなど)や抗腫瘍剤(Bleomycin,Mitomycin C,Endoxanなど)と放射線を併用し,ますます治りやすくなってきたが,一方,副作用も強く現れ,放射線治療を中断せねばならぬ場合もよくある.
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