老人相談コーナーの目
切り捨てられる老人医療
田中 多聞
1
1東京都老人総合研究所
pp.68-69
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917167
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私は京都と東京で老人相談室を担当している.前者はチーフの立場で,後者はフリーの立場で担当している.私の担当日は,現在の老人医療,福祉の恥部や問題点が熱気をはらんでぶつけられてくる.老人看護に当たっている家族,保健婦,ヘルパーなどが多く,老人自身が来ることも少なくない看両者とも私が提唱したものだが,相談室をデパートに選んだのも最初からの私のねらいだった.気軽にだれもが来れる,足場が良いのも理由の1つであった.京都は民営,東京は公営の差はあっても,来室者は同じような問題を持って熱心にやって来る.問題点を大別すると,(1)老人医療,福祉の制度に関する問題 (2)老人ケアの具体的な問題 (3)ケースワークに関する問題 (4)リハビリテーションの問題 (5)老人の死,とくに安楽死の問題などである.
両者(京都・東京)とも老人相談は老人問題の性格上,医師・セラピスト・看護婦などが担当しているが,技術指導だけでは来室者の期待にこたえられない.老人を理解し,看護者を理解し,老人医療,福祉の体系・制度まで一応は知っていないと自信を持って相談に乗れない.そのため私がチーフである京都の場合は,その意味でベテランのセラピスト・MSW・看護婦諸嬢を集めている.それでも,難しいケースは私の担当日に回されてくる.
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