Japanese
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解説
高圧神経症候群
HPNS:High Pressure Nervous Syndrome
関 邦博
1
1海洋科学技術センター潜水技術部第三研究グループ(高圧生理学研究室)
pp.839-844
発行日 1979年8月15日
Published Date 1979/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203410
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人間が水中に深く潜水すればするほど新しい生理学的な問題が発生してくる。事実,圧縮空気を呼吸することによって,深度4ATAから窒素の麻酔作用が発現することが知られている(Benke et al, 1935;Bennett,1966)。しかし,人間は,圧縮空気をHe-O2の混合ガスに変えることによって11ATAよりも深く潜水することもできるようになった。しかしながら,このHe-O2も深度21ATAを超えると高圧神経症候群(HPNS:High Pres—sure Nervous Syndrome)がみられる。この症候群は,Fructus et al (1969)がPHYSALIE-III (37.5ATA,He-O2加圧速度180m/hr)の実験中に見い出した。
臨床的には,21ATAから顕著な振戦(Tremor)がみられ,深度が増大するとともに振戦の亢進がみられる。また注意力(vigilance)の低下が31ATAからみられた。脳波上の所見では,安静開限状態にもかかわらず睡眠段階Iを示すθ律動がみられた。
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