Japanese
English
講座 "環境と呼吸・循環"シリーズ・3
高圧環境と臨床
Some Physiological and Clinical Aspects of Hyperbaric Environment
太田 保世
1
Yasuyo Ohta
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.665-671
発行日 1967年8月15日
Published Date 1967/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201802
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はじめに
いわゆる異常環境の諸問題も,いままではなにか疎遠なもののように受けとられがちであったが,さまざまな方面からこの問題を現実のものとして考究する必要が生じている。表題の高圧環境も,異常圧環境の一つであるが,宇宙あるいは海底に人間の生活圏が拡大していく場合に当面する問題であり,医療の手段としても潜函病の治療にとどまらず,高圧酸素療法として幅広い応用がなされようとしている。つまり潜函工夫,潜水夫あるいはジェットパイロット,字宙飛行士だけの問題ではなく,一般の人々が圧の異常環境におかれることが増加すると考えねばならない。
通常の圧環境を考えてみよう。われわれはいわゆる大気圧,ほぼ760mmHgの圧を受けて生活をしている。世界中では海抜3,000m以上の高地に約1,500万の人間が生活しているとされ,そこでの圧は約500mmHg以下である。潜水を考えると,10m潜水するごとにほぼ気圧ずつ増加し,たとえば海底20mでは絶対3気圧の圧を受けることになる。
これらは全圧を考えた場合であるが,ある種の宇宙船のように,全圧は1気圧以下であっても,純酸素で満たされているために,酸素分圧だけを考えると1気圧空気呼吸の場合よりも高いということがある。
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