連載 死と看護・1【新連載】
死の背景
河野 博臣
pp.98-103
発行日 1973年1月1日
Published Date 1973/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916555
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問われる生と死の概念
ルネ,デカルトに始まる近代文明の思想のなかで,進歩という名のもとに人間社会は大きく変化しています.進歩の思想は,人間(自我)中心のなかから出発し,人間および人間と関係のある物質以外は生存の権利はないという思想に貫かれています.この思想は過去より現在,現在より未来へと速度を速めています.そして社会は変化してきました.そのなかで,人間存在の理念も必然的に変化してきたのであります.
科学文明は,とどまることのない直線的な思想のもとに進んでいます.歩くことより自転車に乗って行くことのほうがより進歩であり,さらに自転車よりも自動車のほうが科学的であるというように,その願望はジェット機へととどまるところを知らない状態であります.
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