連載 死と看護・2
死の意味と死ぬことへの態度
河野 博臣
1
1河野胃腸科・外科医院
pp.238-244
発行日 1973年2月1日
Published Date 1973/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916580
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死の定義
死を直前にした患者には,死の定義の無意味なことはいうまでもない.彼らが求めているものは‘死とは何か’という医学的(生理学的)な定義ではなくて‘どうして私は死ななければならないのか’また‘私はまだしなければならない多くの問題が残っているのに,なぜこんなにも早く死ななければならないのか’という問いである.
しかし,多くの死に至る病いの床に横たわっている患者は,このように確かな疑問をもつとはかぎらない.‘私はなぜ病気で寝ていなくてはならないのか’に始まるといってよい.そして‘早くこの病気の痛みから開放してほしい’という現実的な問いに願望が終始するだろう.
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