特集 死の臨床—死にゆく人々へのアプローチ
座談会 人間と死
河野 博臣
1
,
樋口 和彦
2
,
市川 亀久彌
3
,
野島 良子
4
,
坂東 喜久子
5
1河野胃腸科外科医院
2同志社大学・宗教心理学
3同志社大学・創造工学
4京都大学医学部付属病院
5京都大学医学部付属病院精神科病棟
pp.154-172
発行日 1974年2月1日
Published Date 1974/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916943
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なぜ死の問題がクローズアップされたか
河野 最近,死の問題がクローズアップされてきたということと同時に,医療の中で,死を取り扱いながら死を知らない者が居るんですが,死の全般的な問題として,医療の中で取り扱われている死ということで,何かお考えがないでしょうか.
樋口 最初に考えるのは,死の問題というのは,医学ばかりじゃなくて,宗教あるいは心理学・社会学,その外いろんな面に新しい問題を提起していると思うんです。それは,今まで持っていたそれぞれの学問の方法論がその問題にぶつかると,乱反射するといいますか,そういう屈折工合を見て学問を正すという側面があるんじゃないでしょうか.例えば,医学を外から見ていて私たちが感ずるのは,ひとつは,医学というと,メディシンという面とメディカル・ケアという面とがあるわけですが,日本では,メディカル・ケアに対する関心が医療の中で不十分ですね.そういう面で,この問題はいろんな課題を我々に突きつけるんじゃないかと思いますね.
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