臨床薬理学・11
抗ヒスタミン剤
保刈 成男
1
1日大医学部薬理学
pp.1474-1477
発行日 1972年11月1日
Published Date 1972/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916493
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抗ヒスタミン剤の発展
ヒスタミンは生体内のほとんどすべての臓器に生理的に存在し,とくに消化器や皮膚に多い.ヒスタミンは,1907年Vogtにより合成されたが,その生物活性が注目されるようになったのはDale(1910年)らのバッカク中のヒスタミンの薬理作用に関する研究からで,さらに諸臓器中の分布が明らかにされたのは1927-8年頃である.
ついで2,3年後には,抗原抗体反応によってヒスタミンが細胞から遊離され,それによって血管拡張,かゆみ,浮腫などのアレルギー症状が現われるのだろうという仮説が広く認められるようになった.現在では起因物質としてヒスタミンのほかセロトニン,プラスマキニン類などが知られているが,当時はこのヒスタミン説が主で,従ってアレルギー疾患の治療剤としてもヒスタミン拮抗物質の発見・開発に力が入れられたのも当然である.
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