論述
抗ヒスタミン剤に関する研究(第2報)
中村 敬三
1
,
木村 義民
2
,
根岸 淸
3
,
坂本 行男
3
1日本医大予研血清学部
2日本医大
3日本医大細菌教室
pp.277-281
発行日 1950年6月15日
Published Date 1950/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905510
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緒言
既に第1報で述べたように,其後益々海外に於て種々の抗ヒスタミン剤が生産されるようになつたが,しかしそれらの藥剤の性格を檢討すると,その抗ヒスタミン作用と抗アレルギー作用の間には,やはり可成りの縣隔があるように見受けられる.即ち從來発表せられた種々の抗ヒスタミン剤の比較試驗の結果を綜合すると,最新の化合物の抗ヒスタミン作用は著しく増大したにも拘らず,抗アナフイラキシー性には左程の優劣はなく,また臨床試驗の結果にも必ずしも著しい差異が認められていない.この点に就ては,私共は先にBenadrylに関する研究から,種々の疑問を指摘しておいた.然し乍らBenadrylは元來が抗ヒスタミン性と抗アナフイラキシー性の比較的少い藥剤であつて,このことは先きに述べたように,種々の抗ヒスタミン剤の比較試驗の結果から明かにせられた所である.例えばLandanの実驗成績によれば,モルモツトのヒスタミン・シヨツク死(histamine phosphate 0.5mg/kg靜注)を100%予防するには,Benadryl 0.6mg/kgの前処置で充分であるがアナフイラキシー・ショツク死を100%予防するには,5mg/kgのBenadrylの前処置を以てしても,なお且つ完全と称するには至らない.
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