特集 皮膚泌尿器科診療の進歩
抗ヒスタミン剤による皮膚疾患の治療
野口 義圀
1
1横浜医科大学皮膚科教室
pp.799-805
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201331
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Ⅰ まえがき
終戦後における顆しい新治療剤の登場を驚嘆の眼をもつて迎え,その消化吸收に忙殺されたのは未だ昨日のことのように思われる。抗ヒスタミン剤(以下抗ヒ剤と略記)はその花形の—つであつて,皮膚疾患の治療に大きな光明を齎らした功績は大きい。抗ヒ剤も導入初期の驚き,それに続く各種誘導体の輩出,更に抗ヒ剤に対する批判の時期を経て,今日では不可欠の常備藥として同化されている。
周知のように抗ヒ剤の研究がフランスのFour-neau et Bovet(1933)により始めて実を結び,これを契機として種々の構造式のものが合成され更にアメリカに渡つてBenadrylとPyribenza-mineが発見,商品化されるに到つた。その後の発展は燎原の火のごとく,瞬く間に全世界の医学各分野を席巻してしまつた。
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