ベッドサイドの看護
患者心理とベッド配置—癌患者の場合
平沢 ひろ子
1
1国立がんセンター混合病棟
pp.474-481
発行日 1972年4月1日
Published Date 1972/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916295
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癌患者の心理については,テレビドラマや著明な小説家の筆になるものや,また専門書,外国の翻訳書など,枚挙のいとまのないほど多く紹介されている.このような普及のされかたは,癌は恐ろしいものであり,死に結びつくものであると考えてしまうようである.そしてこの考え方は,がんセンター病院が,癌の専門病院であることを知っている人には,多少の差はあれ必ずもっているものと思う.
ナースが初診をとるとき,自分は癌ではないが,と前おきする人が多い.‘良性腫瘍といわれたが,腫瘍であればやはり専門病院であるほうがよいとすすめられて来だという場合もある.普通病院であれば,周囲は自分のことは知らない,自分の思いすごしであれば良いが,といった心の自由さ,遊びがあると思う.がんセンターには,周囲すべてを含めて癌ではないかと思っている状況が想定できる.このような人たちが対象となり,ほとんどが4人部屋に入院され,検査・治療を受けておられるわけである.
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