ベッドサイドの看護
ベッド配置と患者の不安—ある乳癌患者の場合
野島 良子
1
1京都大学医学部付属病院
pp.845-849
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916695
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I.はじめに
自己の疾病,その治療や経過,または予後,あるいは看護について,患者自身が自分に最も有益であったと判断している情報を,患者は医師から最も多く,次いで婦長・看護婦の順で得ていることを,Cartwrightは報告しているが,同時に,少数の患者は,入院中の他患者を重要な情報源と見なしている,という事実も指摘されている1).
また平沢は,同室患者が不用意に発した質問によって,自己の疾病の本態を知らされ,めまい,胃痛,嘔気など,不安の身体症状を現わした直腸癌の患者の例を報告している2).同室患者を重要な情報源とは見なさないまでも,いわゆる大部屋に収容された患者は,同室の他の患者と,お互いの病気について話したり,病状を比較して,相手が自分より重症であれば,自分が実際より軽症になったように感じたり,安心したりする1,2,3).
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