--------------------
講評
竹内 繁喜
1
1東京築地産院
pp.36
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200524
- 有料閲覧
- 文献概要
開業の助産婦さんとしては大変立派な研究発表だと思います.なお私達産婦人科の医者として嬉しく思われます事は,開業助産婦再教育講習の普及につれて,助産婦さん達の物の見方,考え方が大変研究的になつた事です.今迄なら,「分娩開始前にすでに胎兒死亡の診断がついているのだから,死産になつたとて自分の責任ではない」とそのままに済ませてしまつたような事柄をも,「何故?」あの場合に胎兒死亡が起つたのだろうかと再考した点,家族の了解さえあれば剖検(解剖)してでもその死因を知りたかつたと述べている点は大いに買つてやるべきだと思います.
死産には今なお原因不明の場合が多々あります.この場合は分娩開始前にすでに胎兒が死亡していましたが,時としては分娩開始前,或は分娩中は心音がしつかりしていて,分娩経過も短かく,非常に容易な分娩で,しかも生れる間際に兒が死亡する場合さえあります.私の産院でも昨年こんな例を二例程経験し,東京大学の病理の先生に剖検して頂きましたがそれでも的確な死因は不明でした.
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.