看護の潮 研究学会を支える
わが国の看護学確立のために〈1〉
千葉 康則
1
1法政大学
pp.40-45
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913872
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看護学確立を考える好機
これからお話する題目は,「わが国の看護学確立のために」という,大へんな題です。この学会でみなさんが看護学のいろいろな研究発表をしておられるときに,このような題をかかげてお話をするのは,なにか今まで看護学がないような印象を与えて,大へん申しわけないという感じがするわけです。しかしながら,ある意味では,このような検討,つまりわが国の看護学を,どのように確立していくべきか,という問題を検討することは,今の時期をのがしてしまうと,おそらく,とりかえしのつかないようなことになってしまうのではないか,という感じが,外から私たちみていましても,します。
もちろん看護の歴史は古いわけですが,戦後のわが国の看護の状況を考えると,やはりいちばん大きな問題は,アメリカから入ってきた,アメリカ式の看護学あるいは看護業務というようなものが,日本にあたえた影響と考えていいのではないかと思います。看護業務,教育体制その他,アメリカのものそのままをもってきたとはいえないかもしれないけれども,かなり大きな影響をうけていることは間違いないと思います。しかも現在の看護学ないし看護界の中のいろいろな混乱の原因の一つはまさにそのへんにあるというふうに考えるわけです。
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