私の看護学試論
看護学の確立のために
千葉 康則
1,2
1法政大学
2東京厚生年金病院看護学院
pp.34-41
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913523
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Ⅲ
前号で,私は看護学の今日までの歩みをふりかえって,明日の方向を見出そうとした。私たちが歴史をふりかえることは、歴史的発展方向を無視した未来像を描くことがないために必要であるだけではなく,歴史の転換点も正確にみぬく必要があるからである。歴史と不連続な理想を追うことも無意味であるが,同時に歴史にとらわれて転換点を見落すことはさらに愚かなことである。私が看護学は近い将来に人間科学(人理学)を中心に確立されるべきではないかと結論したのも,その機が熟しつつあると考えたからにほかならない。
しかし,この結論と看護界の現状との間にはかなりのへだたりを感じる人も少なくないと思うので,この論文では,主としてこの溝をうめてゆく具体策について私見を述べてゆきたいと思う。断るまでもなく,私は看護界とは第三者的立場にあるので,ひとの心も知らないでと恨まれるようなことを書くことになるかもしれないが,混乱した看護問題に何らかの指針となり得れば幸である。
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