第12回医学書院看護学セミナーより
わが国看護学確立のために〈2〉
千葉 康則
1
1法政大学
pp.90-95
発行日 1968年3月1日
Published Date 1968/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913925
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原因と結果の関係でとらえる行動科学
人間は大へん複雑なものですから,したがってネズミのようなわけにいかない。ですから,研究の実際の方法については,非常に迷っています。迷っていますが,行動主義心理学の精神は受けついでいる。人間がどう考えたかなどは問題にしないで,人間の行動だけをつかまえていって,その法則をつかまえよう,それで十分に役立つではないかという考え方です。たとえばAの商品とBの商品を出して,どちらを買うかを調べたら80%はAを買い,20%はBを買った。それならBを売るのをやめてAにしようというわけです。実用的にはそれでいいように思われる。なぜ買おうと思ったかなどということは問題じゃないわけです。
行動科学のはじめの頃は法律学だの社会科学など,いろいろなものを総合しようじゃないかというような,きわめて漠然とした考え方だったんですが,現在はそうではなくなって,ケーススタディみたいなものもありますが,大量調査を中心に現実の中で活躍しています。したがって,それはコンピューターの発明と離して考えるわけにいきません。あらゆる方向から数理的な統計をとって,人間は80%はこうで20%はこうであるというような数字を出して,研究しようという考え方になってくるわけです。しかし,行動科学にはいろいろ多くの問題点があります。
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