看護の潮 研究学会を支える
科学論
井尻 正二
1
,
編集室
1東京経済大学
pp.46-50
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913873
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科学とは何か
●合理性と実証性
看護学というものを学問として確立したいという希望があるように聞いておりますが,私は看護学というものを知りませんし,学問として成立したほうが伸びていくのか,あるいはそうでないほうが本質に触れるのかというようなことは,多少考えてみる必要があると思うのです。そこで,科学とはどういうものかということを,最初にお話したいと思います。
科学とは何か,つまり学問とは何かということになります。それはある対象の認識の知識なのですが,自分だけわかっていたのではだめで,客観的なものでなくてはいけない,バラバラなものでなく,体系にまとまったものでなくてはいけないのです。こういうものを科学といいます。つまり,何かを研究して相手方を知ると,その知ったことを自分だけがわかっているのではなくて,たとえば解剖学,あるいは生理学という一つの体系にしていかなくてはいけない。これを科学というのですが,これだけではちょっとわかりにくいので,少し例をあげて説明しましょう。
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