再説・看護学試論
人間科学のあり方について—看護学の確立のために
千葉 康則
1,2
1厚生年金病院東京看護学院
2法政大学
pp.33-39
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913801
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■ふたたび述べるにあたって
私は本誌2,3月号に「私の看護学試論」を書き1)2),看護学の中心には人間科学(人理学)がおかれるべきであることを主張した。看護学に関しては素人の私のこの試論を看護界がどのように受け入れてくれたかは気がかりであったが,少なからざる反響があり,感謝している。特に,日赤中央病院のみなさんとの熱心な討論は印象深かった。しかし,このようにいろいろのご意見をうかがってわかったことは,私の主張の焦点が必ずしも十分に理解されていない向きもあるということである。原稿60枚分ほど長々と書いていくうちに,焦点がぼけてしまったようだ。そこで,まず,私の主張の要旨をまとめておこう。
1.看護学が人間学でなければならぬということは先進的な看護婦諸氏の常識になっているが,私が主張したいことは,それが科学,人間科学であるべきだということだ。ただの人間学と人間科学とはまるで違う。だいいち,人間学なんて学問が存在し得るかが問題である。人間科学となることによって,看護学はとりとめのない勉強から解放され,一貫した研究の方向が見出され,独自の専門学問を確立することができるだろう。
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