私の看護学試論
看護学の確立のために
千葉 康則
1,2
1法政大学
2厚生年金病院看護学院
pp.24-32
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913496
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ
看護を学問としてとらえる
最近,保助看法の改訂を中心に看護制度,看護婦の社会的地位についての論議がさかんである。一方,日本がお手本にしているアメリカにおいても,塚本が連載した「看護の専門職業化の問題」1)をみても,程度の差こそあれ,同様の問題が論じられていることがわかる。私は看護学院で10年近く生理学の講義をしてきた経験から,その勉強ぶりは他の大学,短大に比してもかなり充実したものであることを知っている。それだけに,その人たちの職業の社会的地位がいまさらとやかく問題にされているということは教育にたずさわる者としても暗然たる思いがする。
マートンが「看護における身分の問題」2)の中でのべているように,不満が多いほどその職業は上昇途中にある,などと楽観してもおられまい。今回の保助看法改訂の問題にしても,看護職の向上を願っている人々の間では必ずしも評判はよくない。石垣は「ピントの狂った保助看法改正」3)の中で,看護協会は実質的にナースのレベルダウン,速成栽培法にひっかきまわされている,ときめつけている。おまけに,医労協は今回の法改訂は合理化政策だと反対するし,医師会は開業医の保身に根ざした雑音をならして反対している。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.