医学と看護1月のテーマ
脊髄損傷患者の看護
並木 薰
1
,
岡川 裕子
2
1関東労災病院看護部
2同病院整形病棟
pp.57-60
発行日 1968年1月1日
Published Date 1968/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913841
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はじめに
近年,建設工事の増加および交通事情の悪化により脊髄損傷患者が増え,ことに労災病院はその性格上,労働災害にともなう外傷性の脊髄損傷患者が圧倒的に多く,受傷から社会復帰への過程に種々の問題点を抱え,長期の療養生活を余儀なくされているのが現状である。脊髄損傷患者の看護は救急処置に始まり,二次的障害,合併症予防と相まって全身症状が安定すれば早期に後療法ならびに整形外科的機能回復訓練を行ない,その残存機能をできるだけ高めるように技術的に指導し,適切な訓練作業を行なわせ,患者の持つあきらめや悲観的人生観を打破して社会復帰への意欲を持たせることである。したがってその目的は脊髄麻痺を完全に直すことではなく,麻痺のある肢体のままでもそれを上手に使いこなし,残された機能を最大に,失なわれつつある機能を最小限に喰い止めるように努力することである。ここにその一例を紹介し,脊損患者の看護についてまとめてみる。
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