ケースレポート
脊髄損傷患者の分娩を経験して
江田 恵子
1
,
大沢 真理子
1
,
向田 外代子
1
,
松山 栄吉
1
1東京厚生年金病院・産婦人科
pp.741-745
発行日 1982年9月25日
Published Date 1982/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206084
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概要
今回われわれは脊髄損傷者の分娩例を経験したが,この症例は夫婦ともに脊髄損傷者であったため,当時マスコミにも大きく取り上げられた。その報道の過熱ぶりには,当夫婦はもとより,医療を担当したわれわれも,夫婦の周囲の者も,正直なところ辟易させられたほどであったが,確かにそれほど騒ぐだけの価値があったことも事実である。
その第一の原因は,脊髄損傷の夫婦間の妊娠を人工受精によって成立させたことであり,第二は,それを成功させた泌尿器科医と,われわれの病院のスタッフとがうまく連係をとることができて,妊娠初期から分娩を終了させるまで,よく管理できたことである。結果的には妊娠経過も異常なく,分娩もまったく正常であったが,そのためには以下に述べるような万全と思われる策を講じたことも事実である。
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