臨床実習サブノート 理学療法をもっと深めよう・6
脊髄損傷患者の疼痛を理解する
山本 晋史
1
Shinji Yamamoto
1
1群馬リハビリテーション病院リハビリテーション部理学療法室
pp.847-851
発行日 2013年9月15日
Published Date 2013/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106416
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脊髄損傷患者は,麻痺のみならず難治性異常疼痛にも苦しんでいることが少なくない.麻痺はやがて受容できる場合もあるが,痛みを受容することはきわめて難しい.また,この痛みは「感覚が麻痺している」ことだけでなく,患者によって痛みの訴えに差があることによりなかなか周囲の理解が得られない場合がある.「麻痺しているのだから痛くないはず」「気の持ちよう」と思われがちである.
もとより痛みや異常感覚は主観的なものである.本人が語る言葉でしか伝えられず,語る言葉には限界がある.目にみえる苦しみではなく,致死的なものでもないため,日常のなかで他者から重視されずに忘れ去られることさえある.そうしたなかで脊髄損傷患者は,痛みとつきあう工夫,医療とのかかわり,生きる意味を問い続けるさまざまな日常を積み重ねている1).
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