声 看護婦寮
ナース自身の手による宿舎を
草野 実子
pp.62-63
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913531
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昭和初期に,看護婦生徒として過した経験をもつ私にとって10月号の特集「看護婦宿舎と勤務体制」はまことに今昔の感がありました。私の時代の12畳の和室に8人、上級生の室長が2名同室の寄宿舎生活。外出は2人づつでそれも日曜日のみ。午前4時起床という生活は,まことに女工哀史にも比べられる状況でした。
2つの寄宿舎の写真をみて,「日本のナースの寄宿もついにここまできたか」という感慨に打たれました。私の育った時代の寄宿舎と,満州事変を発端とする当時の戦争にまきこまれていった社会との背景を,切りはなして考えることができなくなっていた私は,看護婦寄宿舎の問題については異常な開心を抱きつづけてきたといっていいでしょう。看護〇仕事と寄宿舎は,永らく,桎梏とも宿命ともなって結びつき,看護の仕事の持つムジュンはすべて寄宿舎に凝集されていたといっても過言ではないでしょう。
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