精神身体医学講座・11
心身症のケースワーク
杉田 峰康
1
1九州大学医学部心療内科
pp.52-55
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913528
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今日の病人はその生理学的な疾患だけではなく家族,その他の人間関係や,社会・文化的な背景を考えあわせて全体的に理解され,治療されねばなりません。米国テンプル大学のワイス教授の調査によりますと,同大学の内科の患者で日誌の重さが1ポンド以上あるケースをよく調べたところこれらの患者のたいていは,それまでによくわかっていなかった心理・社会的な問題をもっていたことが判明したといわれます。こうした場合,この種の患者に対症療法だけを行なって経過を追究することは,かえって不必要な時間と労力を失うことになることも多いと想像されます。
メディカル・ソーシャルワークは患者を,全体医学(holistic medicine)的な方法で扱います。ケースワーカーは医療チームで働けるように訓練されていて.生理学,心理学,社会学,精神医学,文化人類学などの多角的な(multidisciplnary)見地にたって綜合的な考え方ができるように教育されています。ケースワーカーは,とくに患者の疾患や治療に影響を与えている彼らの対人的な機能(Social functioning)をあつかいながら,医療チームの働きのうち,心理・社会的なアプローチを真に効果あるものとします。この講座では,とくに精神身体医学(心身医学)チームにおけるケースワークのあり方について述べてみたいと思います。
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