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整形外科における放射線障害の予防—ことに先股脱レ線撮影上の工夫
手島 宰三
1
,
上原 遙子
2
,
副島 志津香
2
,
池端 文子
2
1小倉記念病院整形外科
2小倉記念病院
pp.66-69
発行日 1961年7月15日
Published Date 1961/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911436
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はじめに
放射線科学が進歩し,その知識が普及するにつれて多くの人が放射線を利用し,放射線被曝の機会が多くなり,それに伴つて放射線障害についての関心も昂まり,一般人も放射線に対して神経質になるであろう。レ線治療学の成書を読むと多くの疾患に有効に作用するように書いてあり,最近は患者の方からレ線撮影を希望する人も多く,また予防医学の集団検診で健全な人が大衆被曝する機会が多くなり,放射線障害の予防と治療に関して好むと好まざるにかかわらず注目しなければならない時勢である。とくに医師,看護婦は放射線医学に無関心ではいられない。
放射線の生体に及ぼす作用に関しては良く知られているようで,じつは明確でないのが現状である。たとえば最大許容量が1932年には1日100mγであったが1950年には1週300mγ,1958年(国際放射線防護委員会かん告)1週100mγという基準が作られた。これはこの限界をこえない限り個人一生涯の中に放射線の直接障害が現われないことを意味しているもので,これ以上被曝すれば直接障害が起きる可能性を示しているものである。
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