Japanese
English
綜説
輸血腎—ことにその治療について
Transfusion kidney, with special reference to the treatment with artificial kidney
渋沢 喜守雄
1
,
丹後 淳平
1
,
西沢 康男
1
,
芦田 敬治
1
,
河野 通弘
1
,
西村 菊夫
1
,
真鍋 圭一
1
,
松浦 一
1
,
林 久博
1
,
志村 保雄
1
Kishuo SHIBUSAWA
1
,
Junpei TANGO
1
,
Yasuo NISHIZAWA
1
,
Keiji ASHIDA
1
,
KÔNO Michihiro
1
,
Kikuo NISHIMURA
1
,
Keiichi MANABE
1
,
Hajime MATSUURA
1
,
Hisahiro HAYASHI
1
,
Yasuo SHIMURA
1
1群馬大学渋沢外科教室
1Department of Surgery, Gunma University
pp.15-28
発行日 1959年1月20日
Published Date 1959/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202303
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
いとぐち
輸血腎transfusion kidney(Novasquez1)1940)というのは,輸血後にみられる特殊な急性腎不全の状態であろう.尿量減少・尿中色素排泄・血圧上昇および高窒素血症などを主徴とするが,これらの症状発現の基礎となるものは溶血現象である.この不適合輸血による溶血の原因は,今日では主として非定型抗体の作用によるものと解されている.不適合輸血の歴史を回顧すると,現在の考え方に到達するまでには種々の曲折を経ている.
ABO式血液型分類法はLandsteinerによつて1900年に確立されたが,16世紀の中頃からすでに輸血が行われていたという.当時は血液型の考慮がなされず,そのため,種々の副作用があり,輸血後暗黒色の尿を排泄し,乏尿・無尿がおこり,ネフローゼ様症状から,すゝんでは尿毒症で死亡した例のあることがしられている.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.