教養講座 世界史の女性像・13
第一次世界大戦前後のヨーロッパ社会と代表的な女性たち
井上 一
1
1横浜市大
pp.41-43
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910793
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<19世紀の社会と女性>
先月号につづいて19世紀から20世紀のはじめにかけてのヨーロッパ社会と,そこに生活した女性たちについておはなしいたします。前に申しましたように19世紀のヨーロッパ列強はそのすぐれた工業力に物をいわせ,まだ工業力の発展していなかつたアジア,アフリカなどの諸民族を圧迫しつづけていきました。しかしこういつた政策はこれらの国の勢力の衝突の原因ともなり,第一次世界大戦(1914〜18年〉を生むことになりました。(その後は工業力を最大限に発揮して来たアメリカ合衆国がヨーロッパとならんで世界の政治をうごかすようになります。)ところでヨーロッパ諸国の内部では工業の発展にともなう労働者,更に一般の市民などにのしかかつて来る重圧のために,社会生活上に激しい変化がまきおこつて行きました。女性のうごきもこのような社会めうごきと密接に関係して動いています。
ところで19世紀は世界文学史め中で小説がもつとも発達した時代といわれています。この世紀のはじめフランスのバルザックによつてうち立てられた写実主義の精神は,フローペル,モーパッサン,ゾラなど自然主義作家とよばれる人々によつて更に展開されて行きました。
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