教養講座 世界史の女性像・11
19世紀前半のヨーロッパと女性たち
井上 一
1
1横浜市大
pp.41-43
発行日 1958年12月15日
Published Date 1958/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910751
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ナポレオン時代のフランス
1789年7月14日パリのバスティーユ監獄を破壊して口火を切つたフランス革命はフランスの專制政治を打倒し,共和政治を打ち立てましたが,これに対して外部からは革命を打ちこわそうとする諸外国の侵入があり,内部でも混乱がつづき,先月お話した恐怖政治(1793年)もその指導者ロベスビエールが反対派のクーデターによつて失脚し(1794年7月),革命反対の王堂までが権力回復をうかがうありさまでした。この危機に当つて王党を鎮圧し,つづいてイタリアに遠征して,当時小さな国々に分裂していたイタリアを支配していた宿敵オーストリアを破り,オーストリアへまで進入し,有利な講和条約を結んでフランスの威力をかがやかせた(1795〜96年にかけ)人物がナポレオンでした。
つづいて彼は最大の敵イギリスが東洋と結びついていることに注目し,このつながりを断ち切ろうとしてエジプトに遠征しましたが,その翌年(1799年)フランスにかえり,軍隊の力を背景にしてクーデターによつて政府をたおし,第一執政官となつて実権をにぎり,その後軍事面はもとより内政,財政にも手腕をふるい,1802年には人民投票によつて終身執政官となり,1804年には皇帝という地位につきました。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.