Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
スタインベックの『エデンの東』―第一次世界大戦中の脳出血患者
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.82
発行日 2014年1月10日
Published Date 2014/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110382
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スタインベックが1952年に発表した『エデンの東』(土屋政雄訳,早川書房)の最終・第四部には,第一次世界大戦の最中,主人公の父親アダムが脳出血で倒れる場面がある.
アダムは,行方知らずになっていた妻が自殺したと聞いた直後から,舌がもつれて言葉がのろくなったほか,「手が痺れた」,「血行が悪い」と言って右手で左手の甲をこする,左手がきかなくなってボタンをはめたり靴紐を結ぶ動作がうまくできない,ベッドから起き上がったり椅子から立ち上がるにも手助けが必要になる,めまいがひどくて壁に手を突かなければ家の中を歩くこともできない,涙もろくなり,疲れたと言ってすぐ寝てしまう,口をだらしなく開けて口蓋をこするような鼾をかく,などの症状が出現した.
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