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病人の食事への心づかい(2)—同じ材料で變化を
吉沢 久子
pp.34-35
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910016
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私は最近,長野へ旅行して,長野市の五明館という旅館にとまりました。実は私は同じ旅館に2日とまると,いつも食事のことで参つてしまうのです。というのは,宿屋の食事というものは,そのほとんどが,どこの土地へいつても同じもので,しかも,毎日,おなじ料理である場合が多いからです。
ところが,五明館という旅館では,3日間の食事から,帰りに汽車のなかでたべるおべんとうにいたるまで,一品として同じ料理の出なかつたことに,私は,すつかり感心してしまいました。もちろん,材料は同じものをつかつてあるものがありました。たとえば,若鳥のささみを,さつと湯通ししてわさびを添えた「鳥わさ」が出たかと思うと,次の日の夕飯には「鳥鍋」が出され,そして次には,鳥肉のたたきをまぜた卵の厚焼というふうに,たいへん,こまかく心をつかつているのが目につきました。
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