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扉 素晴らしい賜物
pp.5
発行日 1954年5月15日
Published Date 1954/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910010
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長い旅行から帰つてきた晩でありましたが,これが「サヨナラ演奏」ときいてすすに汚れた顔も手足もそゝくさと洗つただけでとんで行つて聞いた「デ・ポーア楽団」,アメリカ黒人合唱団の演奏は近来になく強い感激をうけたことでした。これ程に快い感動をうけたものは最近の経験では一寸みつかりません。指揮者もいれて30人程のグループですが,楽譜なしのしかもアカペラ(無伴奏)で2時間余りを軽くこなすその偉力,四重唱が六重唱もになり織り出されるせん律の巧みさ,ハーモニーの美しさ,三千に余る会衆はただもう魅せられてしまつた有様でした。
黒人特有のあの巾のひろい音声一人が三つのオクターヴの声を出すことが出来るというのですから驚く他はありません。
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