講座 ナースと健康
看護婦と健康—個人及び公衆衞生の面から
永野 貞
1
1公衆衛生院看護学部
pp.12-16
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909845
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序
1954年WHOは“Nurse,—The Pioneer of Health”「健康の先駆者—看護婦」というスローガンをあげました。それは近代看護事業の確立者ナイチンゲールが衞生看護事業にたずさわつてから百年目に当つたので,それを記念したことがこのスローガンの選ばれた大きな理由でありました。
看護婦は病院や家庭内の病人の看護をし家族と其他の集団に家庭看護と保健衞生に関して指導する役目をもつております。ナイチンゲールの言葉や業績の中にも病人看護と同時に疾病予防,健康増進の思想が明かに残されております。例えば「私が看護という言葉を使うのはこれよりもつとよい言葉がないからです。それは現在まで藥の管理やハツプの貼り方を意味することだけに限られてきました。けれども本当は新鮮な空気光熱静けさの適用,そして食餌の正しい撰択と管理などすべて患者に対してその生命力の消耗を最少限にする事を意味すべきなのです」といつています。又著書「看護の覚え書」の中に「換気」「暖房」「家屋の清潔」「部屋と壁の清潔」等々,又インドの衞生状態に関する彼女の所見や報告書の数々には全く公衆衞生全般に及ぶものがあり看護の持つ真の意味が明かに示されたと考えられます。
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